税理士の仕事について
税理士とは、税務に関する専門家のことです。
税金に関しては様々な法律や細かい決まりがあり、一般の人間が生きていく上でそれらを細かく勉強する機会はそうそうありません。
例えば今まで専業主婦だったけれど今年から自営業でお店を持って働き出した、そして年収は300万ほどになった、といった場合、どんな税金をどう支払えばいいのか、そのためには何を残しておく必要があり、どこに行けば良いのか、などは未知の世界である場合が殆どでしょう。
しかしよく判らないからと放置しておいては税務署から検査が入って莫大な税金を支払うことになりますし、放置は法律違反ですから罰則もあります。
出来るだけ税金を支払いたくないのは誰でも同じことです。
そんな時には税のプロに相談するのが一番手っ取り早くかつ簡単なのです。
まとめてお金の管理は全てお任せ、というのが一番簡単ですが、出来るだけのことは自分でやりたい、という方はとりあえず相談にいってコンサルタントになって貰うことも出来ます。
税理士になるためには
ではその税理士になるためにはどうすれば良いのでしょうか。
税理士と名乗ることが出来るのは、国家資格を保持して連合会に登録されている人だけです。
資格を得るには制度上いくつかの方法がありますが、まずは試験を受けて国家資格を得ることです。
ストレートの道でいえばそれが良いのですが、これはとても時間がかかるために多くの人は別のルートを使います。
その方法は、大学院終了による一部科目免除を用いる方法です。
試験には11科目あり、必修科目、選択科目、選択必修科目があります。
「簿記論」「財務諸表論」は必修なので全員が取らなければなりませんし、選択必修科目では「消費税法」「法人税法」があります。
どちらかでも良いですし、両方とっても構いません。
選択科目では「相続税法」「酒税法」「国税徴収法」「事業税法」「「住民製」そして「固定資産税」がありますが、これを不合格なしの最短で合格できる人は滅多にいません。
ですから一部でも受験科目が免除されるとうのは大きなことなのですね。
または、弁護士となる為に司法試験に合格すること、もしくは公認会計士となるために公認会計士試験に合格することも、税理士になる道です。
実際に一年間あたりの合格者数でみてみると、まっすぐ税理士試験を受けた人よりも司法試験や公認会計士試験合格者の方が多いのです。
司法試験や公認会計士の試験の方がレベルでいえば難関なので、司法試験や公認会計士試験に合格しているとその資格があるとみなされる、ということでしょう。
マイナンバー制度により大幅に業務が減少してしまう税理士
ではここまで苦労して長い時間かけて勉強し、国家資格を手に入れると後は安泰なのでしょうか。
それが、現代ではそうでもなくなってきています。
というのは、日本では個人番号が出来たというのが理由です。
個人番号、マイナンバーの利用によって日本国民は迅速な行政サービスを受けられるようになりました。
しかしそのために、大幅に業務量が減少してしまう職業があり、それが税理士なのです。
様々な場所で介入していた業務がスマート化によってなくなってしまうので、それまで人がやっていた業務がなくなってしまうのですね。
スーパーでも自分で商品をレジへ通して人件費を浮かせるような企みがなされていますが、それは国の業務全体でも同じことが起きているのです。
国家資格をとるためには試験にまず合格しなければなりませんが、そもそも試験に合格するためには短い人でも5年、長い人だと10年ほどかかるのが一般的です。
稀に天才的な人がストレートで試験に合格し、最短で2年で国家資格を手に入れる方もいますが、それは宝くじにあたるよりも確率の低い話ですから一般的な頭を持った人には関係ありません。
つまり10年ほどかけてくる日も来る日も勉強し、その間は正社員になることは難しいでしょうから収入も低いままで遊びもせずにひたすら勉強し、やっと手に入れた国家資格、しかし業務は大幅に減少していて業界そのものが斜陽なのだ、という現実があります。
60代以上の税務署OBの人々が業界を牛耳っている税理士業界
そしてこの業界の現実はまだ他にもあり、それは60代以上の税務署OBの人々が業界を牛耳っていること、インターネットの普及によって顧問報酬の見える化がすすみ、報酬はどんどん低くなってきているということ、クラウド会計ソフトなどの登場によって会計事務所の基幹業務である記帳代行作業がとても少なくなってきている、ということです。
あれだけ長年苦労をしてやっと手に入れた資格ですから、それを持って世の中に出ればそれ相応のステータスを求めることは自然のことです。
しかし今では情報ならインターネットで簡単に手にすることも出来ますから、若い経営者は顧客報酬を高くとってほどほどの仕事をする人ではなく、とても良い仕事をするが報酬は安いといったプロを探せる時代なのです。
毎年合格者が出るのに中々仕事をやめない先輩方がたくさんいる、少し前から、この業界はそういう状態なのです。